2023年1月27日金曜日

演劇ワークショップ①


1月27日(金)「絵からはじめる劇づくり部」演劇ワークショップ①が行われました。

この日は、お昼前から雪が降り出し、クラブ活動が始まるころにはすっかり雪景色に。

幸い東京からの電車は通常通り運航していたので、講師の柏木陽さんは無事に茅野入り。

 

一方で、茅野市内や周辺の地域の道路は雪が積もって今にも凍結しそう。夜の開催ということもあり、来られる予定だった部員さんの中には、参加を見送られる方も…。

今回が1回目の演劇ワークショップ。「プロの頭の中をのぞいてみよう!」ということで、柏木さんに、脚本・演出・そしてワークショップのことについて語っていただきました。

 

参加できなかった方もご安心を!

話した内容をブログに載せていいですよ~と柏木さんから許可をいただいたので、今回のブログでご紹介していきます。

 

 柏木さんは「演劇家」。

「プロの頭の中ということで、僕には演劇―今回担当する台本や演出を考えたりする脳みそと、ワークショップを担当する別の脳みそもあります」とのこと。

 

■台本と演出ってなにするの?

 ◎台本について

―舞台進行を表す文章にはいくつか呼び方がある。台本・脚本・戯曲・シナリオなど。なんでたくさん名前があるかと言うと形が違うから。

・台本…舞台進行の土台になるものだから台本。書かれている形は様々。

例)父が帰ってくると兄がいる。兄と父は一言二言挨拶を交わす。 

・脚本…役名が頭で、セリフが脚のように見えるから脚本

例)兄 おかえり

  父 おう

・戯曲…脚本の形態で書かれていて、文学性があると戯曲と呼ばれる

・シナリオ…映像作品を作るときによく使われる。形は脚本だけど、そこにシーンナンバーとシーンタイトルが入っている。

「基本的には形が違うと、違う呼び名になる。今日説明するのは脚本や戯曲についてですが、このまま台本と呼びます。台本にはどんなことが書いてあるかと言うとセリフとト書きです。(もちろん例外はあります)」

 

◎セリフとト書き

・セリフ…その役柄の人が「〇〇〇〇」と言ってくださいと指示された言葉。

例)兄「おはよう」

・ト書き…舞台上で進行する、時や場所などセリフ以外で指定したいこと。

例)緑の芝生が広がる前庭を持つ家がある 時間は午後

「セリフはなんとなく分かりますよね。で、分かりにくいのがト書きです。ト書きは舞台上のことを色々と書きます。たとえば新劇と呼ばれるものの脚本の場合には、この時と場所をものすごく説明していたりします。」


例えば歌舞伎で”待てい、その方“と人を追うシーンがあったとして、このとき歌舞伎の台本には

兄 待てい、その方

ト、兄は父を追って走っていく

 のように表記してあり、このセリフのあとに指示が書かれるときの「ト」があるからト書きと呼ばれているそうです。

 

「台本を書く仕事というのは、この“セリフとト書き”を書く仕事と言えます。」と柏木さんは言います。

「そんなことは分かっていますよね、ここら辺は一般論です。ここから先は僕がそう思って仕事しています、という話をします。」

 

◎では台本には何が書かれているのか

「…という話を高校生とかとすると、絶対これが出てきます。」

それは、『ストーリー・役柄・感情』などの言葉

「僕は、それは書かれていませんと話します。なぜでしょう。」

部員さん「なんででしょう…」


柏木さん曰く、これらの要素は観客の脳内で作られるから。

観客の脳の中でこれらが作られるために、セリフとト書きを書きます。

 

「難しいのは、“だれがそう見てもそういうストーリーじゃん”っていう人がいるんです。ここの解釈をめぐる戦いは、なかなか大変なんですよ。」


そこで、と柏木さんが取り出したのは茅野市民館で2月、3月に行われる二つの舞台作品のチラシ。一つは諏訪地区の演劇部の高校生たちが合同で作り上げる舞台「傀―KAI―」、もう一つは、コンテンポラリーダンスの公演「A Tail Holder」。

「僕はこの二つを見ることをお勧めしたい。」

「これは『傀―KAI―』の方がストーリーや役柄や感情の、解釈の幅が狭いんです。でも解釈の余地はあります。自由に見てもいいですよといいながらすごく限定をかけます。」

一方で…

「『A Tail Holder』は、その解釈の幅がものすごく広いです。」


ダンスと演劇だから解釈の幅に差が生まれるのは当たり前に思うかもしれませんが…

「例えば、クラシックバレエの『ロミオとジュリエット』や『ドン・キホーテ』はこっち(傀―KAI―)です。ダンスでも解釈の幅は狭いものがあるし、演劇でもコンテンポラリーな表現は幅が広い。音楽でも、オーケストラの人とかに聞くと“や、その作品の解釈は大体かたまっているからさぁ”とか言うんですよ。そういうことが音楽にも美術にも、もちろん舞台表現にもある。」

「だから観客の脳内で作られるんですよ、ストーリーとかは」と柏木さん。

ある人から見たら悲劇的な内容でも、ほかの人が見たら大笑いできるかもしれないし、自分を励ましてくれるような作品かもしれない。

「なんでそんなに違うのかって、ストーリーとか役の感情っていうのが見ている人たち個々の脳内で生成されるからとしか僕は解釈できないんですよ。だから舞台を見てどんなものだったかって話し合うのって面白いと思うんです。お互いを知ることになると思うんですよね。」


◎セリフとト書きから表現を決めることができるのは出演者

「例えば“悲しいな”ってセリフがあるとするじゃないですか。」

 セリフとト書きしかないから台本にはなにもできない。その表現を決めることができるのは舞台上で出演者だけ。

「“悲しいなぁ…”(しょぼん)っていう感じで言うと、〈俺たちは手出しできないけど、でも悲しいよなぁ〉・・・みたいに気持ちを分かち合う感じになるじゃないですか。」

でもこれが、

「“悲しいなぁ!”(見下ろすようにして)ってなると、打ちひしがれている人がいて、その人を上から見下したようなセリフになるじゃないですか。」

  セリフの表現ひとつで舞台は変化していきます。

  「今まで悪役で“そらみろ~!”とか言っていたような役が、あるシーンで(ぽつりと)“悲しいな…”って言ったら、お、お前…!そんなこと思ってたのか!ってなるじゃないですか。それが同じテンションで“悲しいなぁ!”って言ったらそのままの流れですよね。どうするのってところを出演者が握っている。なので僕は、出演者だけを集めて台本なしで舞台を作るのも可能だなと思っています。」

 

◎脚本家と演出家

・欧米の場合、脚本を書く人と演出を考える人が別々のことが多い。

→日本では一緒の場合が多い

 

それぞれのいいところは…

 ■脚本家と演出家がそれぞれいる場合

 演出家が脚本を読んだときに、何が分かって何が分からないかを仕分けでき、観客の手助けになる演出を作っていくことができること。

  ■脚本家と演出家が一緒の場合

 自由に書いたものを自由に演じていくことができ、表現として掟破りなことがどんどん出てくること。

 

\ただし、古典は別/

 チェーホフやシェイクスピアなど、古典はそれまでの解釈の積み上げがあるので、そのようなものとしてみてください、という暗黙の了解のもとに、とんでもない解釈のものができる。

「クウェートかどこかの劇団の方が、『アル・ハムレット・サミット』という作品を作りました。ハムレットなんですけど、イスラムなんですよ。ハムレットがサミットの場にいる。サミットの登場人物は王様だったりオフィーリアだったりして。あとフォーティンブラスという物語の核になる人物がいるんですけど、フォーティンブラスの席だけ空いているんです。それで最後にフォーティンブラスが登場したときには全員死んでる、っていう…。ハムレットがサミットの場所でどんどん人を殺していく。ありえないんだけど、ありえるのはハムレットってそういう話だったじゃん、ってなるからそんな舞台も可能だったわけですね。」


◎柏木さんが台本を書くとき

「僕が台本を考えるときはストーリーや役はあまり考えず、すぐにセリフを書き出します。ストーリーや役や感情は観客が頭の中で考えればいいんだから、僕がやるべきなのは、セリフのやり取りの中でここがどこか、今がいつか、この人はだれか、何が話されているか、お互いがどんな関係かということがわかるように書けばいいんです。

 たとえば…

 “ねぇ先生まだ?” “まだみたい”っていうとここがどうやら学校だと分かるんですよ。

この人たちはおそらく学生で、先生を待っているみたいってことも分かる。

“ねぇ帰らない?” “いやまずいよ” “だってさぁ待たせてるのあっちじゃん”

“そうだけどさぁ、だって呼び出されてるんでしょ” “そうだけどさぁ”

っていうと、呼び出されてて、すごいやる気のないやつで、さらに先生のこと馬鹿にしてるやつがここにいるということがわかる。そうするとストーリーと役柄がだんだん見えてくる。僕は書いた後に思うわけです。〈そっかぁ~、呼び出されてるのか、どうしよう〉って。

それで3人目を出すわけです。

“あんたたち何やってんの” “いや別に” “あぁ、この前のやつね” “いいから行きなよもう” “だめだよちゃんとしないと”と、1人去る。去った1人に“あいつむかつく”とか言う。

 そうするとこの子達の置かれている立場がだんだん分かってくるじゃないですか。こんな感じでさっきの、ここがどこか、その人が誰か・・・などがだんだん見えてくるように書くのが僕の台本の書き方です。今回は絵が主役なのでそういう書き方はできないかもしれませんが。」

 

ほかにも…例えば『3匹のこぶた』の演劇を作るとなったら

 「『3匹のこぶた』なので自由度はないじゃないですか。そんな場合は、どう始めようか考えて、僕はなんとなく楽しく始めたいなと思うわけです。

“ぶたぶたこぶた僕たちこぶた。ぼくたち3匹兄弟だ”とか書くわけです。

“兄だぶー” “真ん中だぶー” “弟だぶー”とか書くんです。

“もう3人とも大人だし、住むところをそれぞれ作ろうじゃないか” “おー”みたいなことを書くと、始まったなって。」


◎どう始まるかは全体を支配する


「高校生の時に演劇部で、顧問の先生に“2時間の作品を大体分からせるのに冒頭10分使うんだ。60分の作品だと3分しかない。”と言われて、僕も未だにそう思っています。舞台が始まって〈あ~、こうか~〉って思ったことって終わりまで案外変わらない。どう始まるかは全体を支配する。終わりでそれが覆ることはあまりないです。」


■柏木さんとワークショップ

以前から柏木さんのワークショップなどに参加していた部員さん、「板書をする柏木さんを初めて見た…」とちょっとびっくり。

「普段ここまで話さないのは、僕がワークショップをやっているからです。」

 

◎従来の教育とワークショップの違い

教育システムとしてのワークショップを考えたときに、従来の教育とはこのような違いがある

・従来の教育

ある人がたくさんの知識を持っていて、それを受講者に教える。

・ワークショップ

集まった人たちが、自分たちの持っているものであるタスクを行い、自分たちで学びを得る。

「先生と呼ばれる人がどこにいるのがベストかというと、従来型の教育システムの場合は生徒の前にいることなんですけど、ワークショップ型は生徒の後ろ側。後見としているのがベストなんですよ。作りながら学ぶときに、前にいてはだめなんです。今日は講座なので前にいるんですけど、普段はほぼ前にいないんです。僕のような人間がいなくても何かを作り出す力を皆さんはすでに持っているということを示していきたいから。ひとりひとりは欠けているかもしれないけど、持ち寄った力でこれだけのものができるじゃないですか、演劇だってダンスだって皆さんの力で作れるんですよってなることが、このワークショップの目的なので、僕は後見にいる必要がある。」


■柏木さんのアイデアってどうやって出てくるの?

・直感に触れる(理屈じゃない)

・連鎖とダブルミーニング


「直感って、変な言い方ですけど、ダジャレを思いつくときに似ている。ダジャレって理屈じゃないでしょ?長峰さんが〈見立てと変容〉って言ったと思うんですけど、それで言うと〈連鎖とダブルミーニング〉。連鎖を考えていきながら、直感に触れて、直感からどう構築するか。」

 さらに、直感に触れることについてこうお話されました。

 「直感って大体間違っています。だから科学で検証して、大体が”間違っていたね”という結論になるんだけど、直感に触れるようにしていくと、僕たちは時々当たりにぶつかるんですよ。昔はそういうことを見つけられる人はビジョンを持った人と言いました。ビジョンという言葉は見ているものという意味だけではなくて、展望や見通しという意味もあります。そのようなビジョンを持った人を昔は魔術師と呼びました。今はアーティストと呼びます。特徴は両方ペテン師だということです。」

 一同「あはは」

 「だってそうでしょう?口先三寸で大金を出させて、人をいっぱい働かせるんですよ。じゃあ何を作るのかというと、魔術師の場合は金や不老長寿の薬です。当然失敗します。魔術師が連綿と積み重ねた失敗の先に何があったかというと、現代の科学です。そのころにやっていたことが様々な物質の発見になりました。魔術師たちの試行錯誤が現代科学の基礎を作ってきたわけです。じゃあ、アーティストがやっていることは何だろうね。多分これは200年、300年先に分かります。だけど、それが無ければだめだと思うことを多分作っているんです。そういう意味で言うと、ポテトチップスを作っている人も下駄を作っている人も、毎朝目玉焼きを作っている人もお洗濯してくれている人も、みんな等しいです。そんなに違いがあるわけではない。では僕たちがそのアーティストに何を求めるかと言えば、ビジョンですよ。未来像であり、展望であり、見通し。辻野顧問はアーティストですよ。未来像を見せてくれるわけです。僕はどっちかって言うと出入り業者だから。整理しますよ~ってやっているだけなんで(笑)。」


■最後に…

「演出についてもしゃべろうと思ったけど、もう時間なのでここまでにします。」

今回の講座では、部員の皆さんが前回までの舞台美術ワークショップでどんな絵本を作ったのか、柏木さんにお見せする時間もありました。

「皆さんいい作品が多いね。今後の作業が楽しみになりました。」

今回参加できなかった方の絵本もぜひ見ていただきたいですね!

次回は演劇・舞台美術の合同ワークショップ、3月に入るといよいよ本格的に部活動らしくなっていきます。

回数も多くなっていきますので、ご自分のペースで楽しくご参加ください。

(マネージャー・まりこ)


* * * * * * * *

2023年1月27日(金)演劇ワークショップ①
講師インタビュー

「柏木さんに聞く!」


―今日は「演劇」に関する柏木さんの「あたまの中」の話をたくさん聞けました。最後の「直感」の話も、まるで芝居のエンディングみたいな……
(柏木)あたまの中が見てみたいって、「なんでこういう発想が出てくるのか」ってことだと思うんですけど、そのとっかかりをつかむのに「直感」の話がいいかな、と。
前回の長峰さんのワークは、みんなで直感をつかまえてみようってことだったと思うんですよ。直感に手をのばすと描けるし、絵本になるし、その直感を信じたままそれを言葉にしていくとそれが物語になる。
一頁つくり、また一頁つくって見開きの一面ができる。そうすると、その次の見開きの一面との間に飛躍があるんですよね。長峰さんは、その飛躍をどうつなぐかってことのなかに演劇があるよっていう言い方をしたと思うんです。で、ぼくの中ではそれが「観客の脳みそのなかにストーリーはできあがる」なんです。
(絵本をつくっているみなさんは)意図してないんだけど、つくったものを「見た」自分っていうところから出発してて、それって「観客」なんですよね。観客は演し物を見たとき、この飛躍を「わたしならこうつなげる」ってやっている。だから演劇になる。長峰さんが飛躍のなかに演劇があるよって言い方をしたのは、ぼくはそういうことなんだと勝手に思っていて。長峰さんには「え〜〜〜、そんなこと言ってないー」って言われそうだけど(笑)。

―今日の講座はふだん聞けない話が盛りだくさんで、滅多にないことが実現したな、と。雪の影響で来られない人もいたので、ブログで公開したいのですが……
(柏木)
どうぞどうぞ。演劇のワークショップの場合、現場の振り返りはやるんですけど、どんなことをやり、どんなことを語ったっていう詳細まではあんまりないんです。自分の振り返りとしてもありがたいです。
ワークショップって、「よくわかんないけど続けてみる」って時期があって、いろいろやってみてっていう時期がある。で、詳細な記録とか記事がでてくると、だんだん集合知として「こういうのがいいものっていうんじゃない?」って、生まれる素地になるんじゃないかと思うんです。ゆっくりゆっくり積み重なっていって、その先に「うちだったらこういうワークショップが望ましい」とか「ああいうところで展開したいね」っていう、検証になっていく気がするんですよ。そういう意味でも、公開することでシーン全体にとっての財産が生まれていくんじゃないかと思うんです。
最近、公共の役割ってことを考える機会があったんですが、それって施策のさまざまな出来事を公開し、検証できるようにしておくことじゃないかって思うんですよ。何が語られ、何が実現され、何に希望をもって、どういうことを未来図として描いたから、これがあったんですっていうこと。それが、ずれちゃったかもしれないけどここまでたどり着いた、っていうこともある。そういう検証ができる状況を作ることが公共の役割なのかなって。
公共の役割って、利益率の高さじゃなくて、未来にどれだけ投資できるかですよね。「今」を回収するのではなく、「未来」にどうつなげていくか。そのビジョンの先にあるものを地域で共有する、それが公共劇場のミッションだなと思って。ぼくが関わってきた公共劇場のみなさんは、それを実現しようと奮闘しているなあって感じてます。

2023年1月19日木曜日

舞台美術ワークショップ②


1月19日(木)、舞台美術ワークショップ②が行われました。

今回は、前回のワークショップで描いた「点と線」の作品を材料に絵本を作っていきます。

まずは講師の長峰麻貴さんから今日の内容についてお話していただきました。

「皆さんが前回描いた絵、300枚くらいあったみたいなんですよね。これらを使って文字のない絵本を作っていきたいと思います。できた絵本を皆さんにプレゼンテーションしてほしくて、けっこうやることが多いので、さっそく作り方を紹介していきます。」



「文字のない絵本ってどういうことかというと…」と参考に見せてくださったのは、前回のワークショップで長峰さんがお話していたイタリアのアーティスト、ブルーノ・ムナーリさんの絵本。実物を持ってきてくださいました。

「ブルーノ・ムナーリさんはこういう風に、造形だけで見て楽しむような本だったり、その時の気持ちで感じ方が変わる絵本を作っています。」

さらに、「見せちゃうと引っ張られちゃうかもしれないのでチラっとしか見せませんが(笑)」と、長峰さんのこれまでのワークショップの中で参加者の方が作った絵本も参考に少し紹介していただきました。

 「今後のことも考えてサイズは統一したいと思います。」

まずは長峰さんが用意した紙の中から好きなものを3枚と紙を綴じる紐を選び、製本をしていきます。

「カラフルなものから、今回大人の方が多かったので質感の面白い落ち着いた色の紙なんかも用意しました。」


たくさんの種類の紙を前に、どれにしようかな~と悩む場面も。
「あとから変えてもいいですよ~」と長峰さん。

 

同時に製本の方法も説明していきます。

まずは選んだ紙3枚を真ん中で半分に折り、どの色を何ページ目にするか考えながら重ねていきます。折り目のところで紐を結んで本を綴じますが、このとき本の角を5ミリから1センチほど切り落とすと、紐が引っ掛かって抜けにくくなります。

「大胆に角を落としたい方は、そうしていただいても大丈夫です!」


本ができた人から、前回の「点と線」の絵の中から使いたいものを、5点選んでコラージュしていきますが、「直感で!特につながりは考えなくて大丈夫です」と長峰さん。

「今回はページごとにまったく違う絵が出てきてよくって、そこのつながりを考えていくことが演劇の手法としては大事なことなんですよね。なので、全然違う世界をどう繋ぐかというのが今後のワークショップに生きてくると思います。」


そして参考として長峰さんからもう1冊絵本の紹介。


チェコの絵本作家クヴィエタ・パツォウスカーさんの絵本です。

「ノートの切れ端とかのコラージュでできているんですけど、ほぼ絵だけで。内容は一応ヘンゼルとグレーテルですが、そう読まなくてもいいというか。そういう風にわりと自由に大胆にやっていってもらえればいいなと思っています。」

さっそく、材料となる「点と線」を選んでいきます。

迷わず手に取っていく方もいれば、じっくり考えながら選ぶ方も。

 

材料がそろったらハサミで思い思いの形に切って先ほど作った本に貼っていきます。

皆さん表情が真剣です。






少しずつ完成した方が出てきました。制作中の方は手を動かしつつ、完成した作品を長峰さんが紹介していきます。

「感じるがままに見て、次の時までに内容考えてもいいし、考えなくてもいいし。じゃあちょっと見ていきます。」

 

まずはものすごい勢いで作っていたこちらの作品。


「青い寒色系の色が素敵ですね。踊っているように見えますね。構成が意外とできていて、最初静かなシーンからはじまって、踊って激しくなってきて。ちょっと縄文っぽいですよね。あまり考えずにやりましたか?」

「考えてないです!」

「そこが面白いですよね。でもすごく集中してやっていましたね。」

 

最年少の部員さんの作品。

「何も言わずにとりあえず見てください…かっこよくないですか!?すごいですよね、点だけでやっているけど構成ができていて、最後黒に黒い点で終わるという…。楽譜にも見えるんですよね。色々な展開ができそうです。ちなみにどういうイメージですか?」

「爆発がテーマ。」

「それは確かに伝わってきます。再生だったり宇宙だったり生命の誕生とか…。次回朗読を楽しみにしています。お母さんが読んでもいいかも。」

 

続いてはこちらの作品。

「トリミングに自分のルールがあって、色もご本人っぽいですよね。少しなつかしさというか、江戸時代とか古い時代のゆるい漫画っぽい。選んだ柄も、線や三角の繰り返しだったり、丸、三角、四角で構成されていたり、読む人が想像しやすいのかな。」

「これは自分で描いた絵を選んだ…はず。」

「そうしたら純粋にご自身の本ですね(笑)」

 

こちらの部員さんは製本の紐を編むことから始めていましたが…

「出来ているじゃないですか、流石ですね!紐を三つ編みにするという…やりたかったら真似して差し替えてもいいですからね。製本の紐が既におしゃれ。コラージュも潔いというか、スッとしていますよね。わざと貼らなかったりとか、点と線だけでまとめていて。一緒に旅しているみたいでちょっと可愛いですよね。」

 

次の作品は、コラージュの方法が特徴的です。


「テクスチャーや、しわを生かして立体っぽくなっています。このページからは折って貼って1枚の巻物みたいですよね。不思議でおもしろい。花のようだと思ったら最後はサボテンや、不思議な生命に見える。最後はゴージャスにちょっと飛び出していて。」

 

今度の作品は、もう少しで完成。


「これも表紙かっこいいですよね。中はしかけ絵本みたいになっていて、こんな感じで広がるような。こういう飛び出す仕掛けも面白いですよね。空間でそのまま装置になりそう。完成楽しみにしています!」

こちらも、あと少しで完成。ちょっと見せてもらいました。


「これもすごくかっこいいんですよ。四角い漫画的なトリミングだけどもう少しミニマルな感じ。選んでいる色もかっこいいですよね。美術館の絵を見ているような感じで素敵です。」

 

最後はこの作品。

「始まり方がすでにかっこいいですよね。1個の点から始まって・・・。これは流れを考えながら作りましたか?」

「はい。」

「想像しやすくて優しい本ですね。最後がきれいです。何かテーマとかありますか?」

「展開考えながらやったので一応ストーリーがあります。」

 「えぇ~!良かったら読んでみますか?」

ということでご本人による発表~!


“はじまりがありました。
 はじまりは、はじまりだけだと
 はじまりだとわからないので、
 じぶんをりゅうしゅつさせることにしました。
 どどどどど。
 そしてこんとんがうまれて、おわりができたときに、
 はじまりは、はじまりをしりました。”

すごい!

「ちゃんと絵本ですね‼」と長峰さん。

「こんな感じで読んでもらってもいいし、オノマトペとかでも大丈夫です。自分の中で持っていてもらえるといいかなと思います。」

 

制作途中の絵本は持って帰って、続きを作ることに。

次回の1月27日(金)は演劇ワークショップ①。講師は演劇家の柏木陽さんです。今回の絵本がどう変化していくのかお楽しみに!

さらに2月10日(金)には長峰さんと柏木さんお二人が講師で、舞台美術と演劇の合同ワークショップが行われます。

次回もまた、クラブ活動でお会いしましょう!

(マネージャー・まりこ)


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2023年1月19日(木)舞台美術ワークショップ②
講師インタビュー

「長峰さんに聞く!」


―「プロのあたまの中、見てみたい!」ということで毎回お話をうかがっていこうと思うのですが、今回は……
(長峰)参加者のみなさんのあたまの中が、すごい!感嘆! 一人ひとりのおもしろさが出てました。舞台っていろんな人のアイデアでできているものだし、外からの刺激をどう自分のなかで消化していくかっていう部分があるんですけど、突き動かされるというか、わたし自身が参加するみなさんからすごく刺激をもらってます。

―長峰さんがみなさんの作品をすごくおもしろがって見てくださっていて。
(長峰)ほんとに純粋におもしろいなって。同じ素材でやっていても、選ぶ紙が違って、貼り方も違って、もうみんな全然違う。隣同士でも全然違って、でも刺激されて取り入れたり。同じ空間でやってるとそこがおもしろいですね。
まず、紙の上にひとつ置いて、何かが見えてくる。自分のなかになにかが生まれてくる。そんなふうに手を動かしたり体を動かしたりして、いったりきたりしながらやってみる。「こうやりたい」っていうものより、失敗した形のほうがおもしろかったりする。そこを拾っていくのがクリエイションでは大事かな、と。想像をこえたもの、無意識にできたものから拾って、そこで構築していくほうが思いも寄らない発見がある。段階をふむのも大事だけど、変な失敗から「あれ?」っていう。生きるっておもしろい、ですよね。
相手からでてきたものを、認めるというか、楽しむのが大事だなって。「おもしろい」って受け入れる器。舞台美術って器みたいなもの。いろんな要素がまざってできてくるものだから。今、みんなでいっしょにつくっているのも、舞台美術をつくる過程と同じですよね。

2022年12月14日水曜日

舞台美術ワークショップ①


12月14日(水)、舞台美術ワークショップ①が行われました。

「絵からはじめる劇づくり部」は、演劇と舞台美術、2つの入口から劇づくりを楽しむクラブ活動になっています。

今回のクラブ活動では、最初に舞台美術の要素に取りかかり、そのワークショップの中で作ったものをもとに演劇の台本を作っていく想定です。

 

まずは、長峰さんから少しお話。

「プロの頭の中見てみた~い!」という部員の要望に答え、長峰さんが舞台美術を考えるときに大事にしている“みたて”と“変容(メタモルフォーゼ)”についてお話していただきました。

「“みたて”は聞いたことがあるかもしれませんね。日本人には割と身近な言葉だと思います。演劇はシーンが変わったりするのを短い時間で表さないといけなくて、お客さんの想像力があって成り立っている部分もあります。舞台美術はその器のように考えています。たとえば、落語も“みたて”を最大限に生かしていて、噺家の持つ扇子は蕎麦をすする箸になったり、お酒を飲むものになったりとか…。1枚の紙が折ると山になったり、丸めると石に見えたり、こういうことが“みたて”と“変容”。1つのものからどんどん違うものになっていくのを時間とともに見せたり、そういうことをキーワードに作っています。」

 
さらに、イタリアの造形作家ブルーノ・ムナーリさんの絵本を紹介されました。

「ブルーノ・ムナーリさんは、イタリアの造形作家でアーティスト、デザイナーでもあり、家具を作ったり絵本を描いたり、1つのことに留まらない表現者です。絵本は色や形などを使った文字のない内容だったり、どこか日本的な雰囲気もありますよね。今日はまずムナーリさんの『空想旅行』という本を参考にウォーミングアップをしていきたいと思います。この点の並んだ紙に自由に線を引いたり囲ったりして、これなんだろうと自由に考えてタイトルもつけてみてください。」

 

配られた用紙にさっそく思い思いの線を引いて、タイトルも考えていきます。

「バリエーション豊か!
こんなにとめどなくできるとは…!」

ウォーミングアップが終わったら、いよいよ今日のメインイベント! 墨を使って様々な『点と線』を描いていきます。

「いろいろな『点と線』を採取していきたいです!」と長峰さん。「普通に描いてもいいけど、力いっぱい描いた点だったり、逆に力を抜いた点とか、線だったら細い線、なみなみの線…いつもと違う描き方で、皆さんの無意識の『点と線』、出てこない形を追求してほしいです。できる限り、いろいろな表現を集めて、それを次回使っていきます」と仰っていました。

たくさんの道具や紙の中から好きなものを自由に選んで創作タイムスタート!


最初は、どんな風に描こうかな~と考え込んでいる様子も見受けられましたが…


皆さん迷っていた時間はわずかでした。

1枚書き終わるとまた1枚、もう1枚…どんどんアイデアが止まらなくなって、筆づかいや表現方法もどんどん大胆になっていきました。

両手に道具を持ったり…

細かい点を打っていったり…

スポンジの形を生かして、模様を作ったり…

大きい筆を使ってくるくると描いたり…

最終的にはこんなにたくさんの作品ができました!

その数なんと、302枚!

床一面に並んだ作品を前に拍手が沸き起こりました。

「あらゆる表現が生まれていてパワーと刺激をいただきました」と長峰さん。

「ここからどうしていくかというと、これを一つ一つ素材にして切り取ってコラージュして、あべこべのストーリーを作っていきます。それがお芝居のテキストになっていくのかな? でも皆さんが最初にやった、点に線を引いて言葉をつけるものも、いい感じの詩になっていたので、そこは大丈夫かなと思います」と次回からの流れについてもお話いただきました。


部員の皆さんからも感想をいただきました。

「童心に返ったように無心になりました」

「久しぶりにちゃんとした筆を使って絵を描いたら楽しかったので、このあと家に帰ったらもうちょっとやろうかなぁ」

「子どもも素晴らしいけど、大人もすごいな~と思った」

「人が作ったものも面白くて嫉妬してみたり(笑)」

「描いてるときは子どもの気持ちで。皆さんが描いたものを見ると、そういう案があったか…と大人の目線になりました。」

「皆さん発想がすごいな~。大人なんだけど頭が柔らかい子どもみたい」

「やわらかくやわらかくなっていく時間でした。踊ることが好きなんですけど、筆を動かすことが踊ることにも通じるな…と思ったり。大きい紙で皆で一斉に描いたりするとコミュニケーションが生まれて素敵そうだなと妄想しながら、並んだ作品を見ていました」



部長さんからも一言いただきました。

「はじめましての人も知っている人も集まって、こんな楽しい場面で終われることが嬉しいです。プロの頭の中を見てみたいというのがありましたが、皆さんの頭の中も見てみたいな~と思いました。テーマがないからこそ、こういう色々な発想が生まれて…。これから皆さんの頭の中ものぞかせていただきたいなと思います!」

今後の活動が楽しみな舞台美術ワークショップ①でした!


次回のクラブ活動は1月19日(木)18:30から、舞台美術ワークショップ②が行われる予定です!
次回も皆さんで一緒に楽しみましょう!

(マネージャー・まりこ)


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2022年12月14日(水)舞台美術ワークショップ①
講師インタビュー

「長峰さんに聞く!」

 
―今日は部活動の初日でしたが、いかがでしたか?
(長峰)まず、劇場と美術館がある市民館さんの積み上げてきたものなのか、造形ワークショップの受け入れ態勢がしっかりしていてめちゃめちゃ感動しました! 最初、入りやすいように“見立て”の話なんかもしましたけど、みなさんもう言わなくてもわかってるっていうような感じがあって、ぐいぐいきてびっくりしました。そういう積み上げてきたものが、地域のみなさんにもつながっているのかなって。

―講座のなかで「力を入れずリラックスしてやったほうが」というような話をされていました。
(長峰)墨で点と線を描くのも、筆だけじゃなくて歯ブラシとかいろんなものを用意して、それで無意識が出たらいいなって思ったんです。理屈にならない、原始的なものって人間の表現として大事だと思うんですけど、そこがすっと出てくるというか。でも、ここまでバリエーションが豊かなのって珍しい。すごいおとなたちを見た(笑)。

―たくさんの無意識のバリエーションが生まれた今回ですが、これからどのように進んでいきますか?
(長峰)点と線の絵をもとに、次回は個人個人で3ページくらいの簡単な本をつくろうかなと思ってます。それができたら読み聞かせか、展開をおしえてもらって。そこからの、物語につなげていくのは柏木さんと相談しながら。コラージュして具体的な絵になったり、インパクトのある絵を拡大コピーしてセットにしたり、みんなで模型をつくったりしてもいいかもしれない。わたしの想像をこえたほうが面白いなって思うので、みなさんの様子でこうやった方がいいなって、わたしも一緒に動きながら、そのときのパッションで即興的につくっていけたらいいなって思ってます。

2022年11月11日金曜日

「はじまり~はじまり~のサロン」を行いました!

11月11日(金)に、茅野市民館マルチホールにて「茅野市民館をサポートしませんか2022 はじまり~はじまり~のサロン」が行われました。


茅野市民館では、「市民一人ひとりが主人公になれる場」を理念に、地域の皆さんが劇場に親しむ様々な体験をお届けするプログラムとして「茅野市民館をサポートしませんか」を継続して実施しています。その中で、2020年からは「演劇の種育てましょ!」として、講師に演劇家の柏木陽さんをお迎えし、みんなで一緒に“演劇”というもので“遊びつくす”クラブ活動を行ってきました。

 

今回のサロンでは、今までどんなことをやってきたのかを振り返りながら、「今年度はどんなことをしていこうかな~」という内容で、今年も引き続き講師をつとめていただく柏木陽さんと、そして今年度お迎えした舞台美術家の長峰麻貴さんのおふたりを交えてお話していきました。

 

まず最初に、市民館スタッフの進行のもと、2020、2021年と継続してきた「演劇の種育てましょ!」のワークショップの記録や、茅野市民館開館当初から行ってきた、劇場に親しむ体験プログラムを振り返りました。

自分が出ている映像を見て、思わず笑い声をあげる方も。











後半スタートの前に小休止で「顧問のつぶやき」コーナーを行い、2004年の「平成中村座ニューヨーク公演」を紹介しました。

次回の「顧問のつぶやき」もお楽しみに!

 

後半は、講師の柏木さん、長峰さんにお話しを伺いました。

長峰さんは茅野市民館に来られるのは今回が初めて。ですが、以前茅野市民館で公演やワークショップをやっていただいた巻上公一さんとお仕事をされていて、市民館の話なども聞いていたそうです。

長峰さんを市民館へ誘ってくださった柏木さんは「舞台美術って“動かないな”と感じる方と、“すごく動く”と感じる方のものがあって、長峰さんは“すごく動くなぁ”と思う作品が多い印象。面白い仕掛けにあふれている舞台美術を茅野の方にもぜひ体感してほしい」と長峰さんの舞台美術の魅力を話され、さらに「長峰さんは現役の美術家でもあって、作家としての側面を持っているというのも面白いところなので茅野の皆さんに知ってほしい」と仰っていました。

 内容は今年度のクラブ活動へ



柏木さんからは「普段は、舞台美術が演出や脚本に寄り添っているけど、それの逆で脚本が舞台美術に寄っていくような感じでいきたい」と、ワークショップのイメージをお話いただきました。

今回は「点と線」を描くところからクラブ活動がスタートしていきます。

そこから生まれた表現が、どんな演劇になっていくか今から楽しみです。


12月14日(水)から、いよいよ1回目「舞台美術ワークショップ①」が行われます。

こちらのブログでは、クラブ活動の様子を随時お知らせしていきます。

今年度も、どうぞよろしくお願いします!

(マネージャー・まりこ)