2023年3月12日日曜日

舞台美術ワークショップ④


312日(日)、舞台美術ワークショップも4回目を迎えました。

昨日に引き続き、今日も舞台で使う道具を作っていきます。


作業に入る前に、講師の長峰さんが、これまでのお仕事で描いたデザイン画を見せてくださいました。


長峰さん「舞台美術家って何をしている人なの?って言う人って意外と多いんですよね。聞いてみると、一度も演劇を観たことがない人も意外といたりするのが事実で。舞台美術家の名称も、セットデザイナーやセノグラファーとか、呼び方が多様化していて。それがちょっと面白かったりするんですよね。」


『プラハカドリエンナーレ』という舞台美術の祭典。以前は舞台模型が展示されていた世界の舞台美術を見ることができるそのフェスティバルで、長峰さんはこの10年くらいで世界の舞台美術の状況が変わってきているのを感じているとのこと。

時間と空間を見せていくのが舞台美術の本質だということで、パフォーマンスみたいなものも登場してきたそうです。


「今年も舞台美術の模型を展示するブースもあれば、街に出て舞台美術を持ち出す人もいて。まだまだ舞台美術の見せ方は1つに限らないというのがありまして、それが今回、私が皆さんと実験したかったことに繋がっていて、とても勉強させていただいています。舞台美術の面白いところって共同制作って部分で、今回に関しても面白いなと思うのが、自分の絵じゃないもので構成されていて、しかも元になった皆さんの絵本も、他の人が描いた絵から構成されているってところ。1つの点と線というキーワードからレイヤードされて作られていくのが面白いと思っているんです。」


だからこそ、今回のワークショップが長峰さんの中でも意味のあるものになっているそう。


いま作っている道具も、チームで自由にアイデアを膨らませてOK

それぞれのチームの進捗も共有して、いよいよ作業に入っていきます。



いちばん大きな『太陽』の舞台美術を

作っているチーム。墨で豪快に描いています。


よく見ると…

丸めた紙に墨を浸したものを使っていました。



こちらのチームは…

それぞれ描くものを分担。
下書きをしてから本番に挑みます。


『ハネ』を作っているこちらのチーム。

ダンボールに直接描いて、

慎重に切り取っていきます。



こちらの部員さんは、道具に使う素材の絵を

ひたすら描いていきます。

どんな風になるのか楽しみです。



元の絵のにじみをどう再現するか

ひたすら試しているこのチーム。

長峰さんから意見をもらいながら、

理想のにじみを追求していきます。



1時間半ほど経ち、休憩しましょう~と声がかかっても皆さんなかなか作業の手が止まりません。驚異の集中力で次々と道具が作られていきます。


部長のおみつさんがすいすいと絵を描いていました。

見慣れない筆を使っていたので見せてもらうと、

小さな筆をつなげて新しい筆を開発していました。

発想力がすごいです。




今回も時間はあっという間に過ぎていきました。

どこまで進んだか、進捗確認をしてこの日は終了。


皆さんのパワーがたくさん詰め込まれている道具たち。

これが舞台上でどう使われていくのか楽しみです。


(マネージャー・まりこ)


 

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2023年3月12日(日)舞台美術ワークショップ④
講師インタビュー

「長峰さんに聞く!」


―今日、参加者さんがこそっと「みんな隠し持ってるものを出してきてるよね」って声をかけてきたんです。
(長峰)
それぞれのこだわりがすごくあって、本質が出ていて面白かったですよね。わたしが「こうつくって」って段取るほうが楽だし早いんだけど、みなさん「こうつくりたい」って意思があって、大変だけど(笑)いいなって。
みんなの絵をまとめたものを、今度は自分の道具として変換してつくろうとしてる。ある意味ちょっとアート作品になってきてますね。道具帳を見ないでつくる人たちもいるし(笑)。つくらされてるっていう作業になってなかったのがよかったですね。
それに今度は手先だけじゃなく、からだ全体をとおしてつくっている。ある意味不自由なクリエイションなんだけど、逆に自由になるというか。

―自分の直感だけじゃなく、人の直感に上乗せする。そんなレイヤーが連続していって、アートフルなクリエイションが起きていますね。そこを裏でしっかり支えると、昨日話していたクオリティというところにつながる……
(長峰)
そうなんです。そこらへんを次回以降、形にしていこうと思っています。これが道具になって立ち上がっていき、柏木さんのストーリーと重ね合わされていって。

―そして、ここでつくってきたことを客観視して、変容して、次へいく……という。地域に目を向けると、お互い知らないってことが多いんですが、そういったことが集まり、客観視できる役割として劇場があることは、すごく意識しているんです。
(長峰)
お互いのクリエ
ションを客観的に見て、お互いを知る。お互いの文化を知る場所というか。今回の発表も「もうちょっとこうやったらよかったよね」みたいなことが出てくればよいと思っていて。「よかったね」だけで終わるんじゃなくて、次につくる時はこうしたい、またつくりたいっていうのにつながるといいかなと思っています。
人とつくっていると、予想しないアイデアを出してくる。経験がない人とつくるとそういったことがもっと出てきて、別の発想というか、何か新しいことを習得できるなっていうのが、わたしにとってもあるんですよね。
今日つくりながら思ったんですけど、「点と線」って置き換えれば「丸と棒」。今回の演目も、ここの土地の原始的なものを直感的に、わたしと柏木さんとで読みとってつくっちゃったのかなって感じがありますね。不思議ですね。

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