2023年3月25日土曜日

演劇・舞台美術合同ワークショップ③


本番前最後のワークショップを迎えた325日(土)の「絵からはじめる劇づくり部」。
講師は柏木さんと長峰さんに加え、今日は宮本さんもいらっしゃっています。

今日やっていくこととして、第3部の問答のシーンで、誰がどれを読むのかの割り振りを決めていくこと。それから舞台に出るときに、上手(かみて)も下手(しもて)も袖が混雑しそうなので、タイミングにあわせて、袖のどこから出ていくのかの段取りを整理していきます。

 「さっきのシーンの状態に戻して…とか、もう一回…ってなるので、多分今日が一番ストレスフルだと思います。この山を越えると明日は割とゆっくり目に準備ができる。終わり切らないと明日バタバタなので、16時半まで頑張っていきましょう」と柏木さん。

3時間でどこまで作れるか、正念場です。

 

さっそく冒頭のシーンからクリエイションしつつ通しでやっていきます。

筆をおくシーン

動きが不安な部分はもう1回復習
柏木さんがお手本を見せます 

第1部です

第1部後半の戦いのシーン
不穏な空気が出ています

第2部 道具がたくさん出てくる粘菌人類のシーン
立ち位置をよく確認していきます

各部の通しをしている中で、「明かりってもうちょっと暗くできますか?」など柏木さんから技術スタッフへ声をかける場面も。

舞台全体の様子を確認しながら進んでいきます。
ここまでで1時間40分くらい。

続いて第3部のクリエイション。
台本を見ながら、どの問答を読むか割り振り。

第3部の問答のシーン

あと40分くらいで本日の活動は終了。
最後にエンディングをやってみました。

『人が去っても作ったものは残る』というシーンで、登場した道具たちが踊って終わる予定だったのですが、「幕の裏に行ったら影絵みたいになるんじゃない?」という長峰さんの提案があり、踊りながら幕の裏に移動して、そのまま踊って終わりという流れでやってみました。

想像以上に面白い表現に。

最後の最後に、このエピローグで流す踊りの掛け声を、即興で録音することに。

掛け声は「ちょちょんが、ちょん!」
部長のおみつさんの合図で皆で声に出していきます


一通りの動きも完成して、3時間の活動が終了です。

明日は最後に通して練習をして、1115分くらいから発表をすることに。衣装は黒い服、地味目の靴、黒いマスクです。午後は、振り返りを行います。

そして、実は大道具の宮本さんはお仕事の関係で来られるのは今日が最後。明日の発表に向けてエールを送ってくださいました。

宮本さん「僕は袖中に基本居るんですけど、今日は見させていただきました。みんな真剣ですごくかっこよくて、作品を作っている人の顔って素敵だなと思って見させていただきました。本当に本番を見られないっていうのが残念だなと思っています。舞台って同じ公演でも同じものは二度と見られないっていうのが面白い世界なので、上手くいく、いかないがあっていいと思うんですけど、明日楽しい時間を皆さんで表現してください。」

最後に部長のおみつさんからも一言。
12月からはじまって、3月は怒涛の連日でしたけど、皆さんのやる気と楽しさが伝わって本当にいい講座だと思いました。皆さん!明日は!自分をリスペクトして頑張りましょー!えいえいおーーーーー!」

\えいえいおーーーーーーー!/

ワークショップ終了後も技術のつくり込みはまだまだ続きました。

明日はいよいよ発表。

緊張することもあるかもしれませんが、最終的には皆で発表を楽しんで、振り返りができるといいなと思います。

(マネージャー・まりこ)

* * * * *

2023年3月25日(土) 
演劇・舞台美術合同ワークショップ③
講師インタビュー
「柏木さん、長峰さん、宮本さんに聞く!」


―今日は、本当に一気に面白くなるところだったというか。はじめの段階ではイメージしていなかったような演劇が生まれてきていて。
(柏木)
あんなオブジェクトシアターが繰り広げられるなんて誰も思ってなかったですよね。自分たちの力で、自分たちのつくったものでこんなことができるなんてイメージ、持ってないじゃないですか。そしたら「え?こんなふうになってるの?」って。

―「劇づくり」っていう言葉だけだと、具体的なイメージはないにしても、こういう風になるとはやっぱり思ってないですよね。改めて壮大だなと思いました。
(長峰)
舞台美術をつくるっていうと、空間をつくって終わることが多いですよね。でも今回、時間がかかって面倒な(笑)持ち道具系をたくさんつくってしまったので、そこが豪華になってますよね。「ライオンキング」の〈サークル・オブ・ライブ〉状態(笑)。

―ある意味、みなさんが「道具さん」をよく見せるために頑張るっていう部分もあるし、演劇ワークショップでやってきたこともまた別のレイヤーで重なって、そのふたつがすごく贅沢な体験だな、と。
(長峰)(道具を)手だけでつくってるからよけい愛着がわくんですよね。うん、印刷にしなくてよかったです。
(宮本)みんな普通、あんなに最後まで道具を気にかけて触ったりしないですよ。愛情というか、リスペクトがあるからで。素材でいえば段ボールとか紙なんだけど、時間とか手数とか、その積み重ねでそういう「いい価値」がつく。非常にいい光景でしたね。
(長峰)いやー、それにしても3時間。最後までいくのかーって思いつつ、収めたーっと思って(笑)。
(柏木)最後、影絵で収めるのは長峰さんのアイデアじゃん(笑)。
(長峰)宮本くんが後ろを通ったときに見えた影が面白かったんだよね。最初ト書きに「影とか使いたいかも」って書いてあったじゃないですか。あ、ここだと思ってね。照明をうしろに置いててくれたしね。
(柏木)よかったよね。
(宮本)市民の皆さんも館のみなさんも、各ポジションにポイントになる大事な人が揃ってるっていう環境のありがたさ。
(柏木)音響さん、こっちのモヤっとしたアイデアを具体化してくれるの、すごい助かるんですよ。今日、音録りましたけど、どの順番で流れてくるかによって聞こえ方が変わっちゃうようなものだったから、お任せしたんです。そしたらやっぱり自分なりに構成してくるんですよ。すごい良かったし、助かった。
(宮本)手の添え方ってセンスですよね。ぼくも裏方でどの順番で声かけていくかとか本当に考えるんで、そういうのって作品づくりでとても大切ですよね。
(柏木)センスもあるけど、彼が駆け出しから長いこと、この館で蓄積してきたことっていうのは、こういう力なんだろうなって。今回ちゃんと経験が形になってるんじゃないかなって思いますよ。

―事前に打ち合わせるって、そんなにしてないですよね。
(柏木)
長峰さんと一緒に仕事するのは初めてなのに、いきなりこんなことをお願いするという。
(長峰)で、打ち合わせなくてもうまくいく(笑)。照明も、最後のほうのマッピングは今日初めて見たんだけど、え?かっこいい、みたいな。特に確認もなく、任せていけば大丈夫だろうって。
(柏木)辻野さんともプランの話なんか一切してないわけ。一応ワークショップで先につくらなきゃいけないから多少は話すけど、そんなに打ち合わせしてない。うまくいかないのよ、普通は。
(長峰)お互いが割と任せ合っている。多分、大変な現場を経てきたわたしたちだから、かな(笑)。
(宮本)それをさせてくれるような受け皿があって、だから動きやすい。お互い集中する視野は絞れてる、自分の役割にフォーカスできるっていうのが、多分いい現場というか、それってやっぱこの環境のおかげですよね。
(柏木)ここ(市民館)のスタッフワークの力がまずベースにあって……
(長峰)ここの器がでかい!
(柏木)まず「この期間、この場所を自由につかって」ってないですもん。
(長峰)「つくる」ってことをほんとにやってきたからですよね。つくったことがないときっとわからない、こういう「ものづくり」の想像力。言えばすぐ出てくるって思ってる人が意外と多いんだけど、舞台美術や道具ってやっぱり「もの」だから、材料買って発注して、つくるには実験も必要でっていう段階もあるし、動かすのも大変。でも、こうしてちゃんとつくる環境が整うと、みんなが楽しく感動するものができるってことが実現できて、すごく嬉しいんですよ。
(柏木)ま、とにかく、こんな規模のことは普通やれないよ、っていうね。
(長峰)あんまりそういう体験ができる劇場ってないと思うんですよね。公共機関では特に。こちらも「迷惑をかけないようにどうつくるか」って感じになる(笑)。でも今回は本当に心が豊かになるというか、創作の力、美術の力を最大限にいかせて、最高の贅沢。演劇って美術がなくてもできる。でも、美術があると次元がちょっと違ってくる。そこらへんに舞台美術の力があるかなって思って。市民劇みたいなところでも、プロが入ってきてテクニカルの部分を学べるっていうところはあると思うんですけど、今回はみんなで考えて、自分たちのものをつくってる。そこに宮本くんの力も加わり、つくったことがないような道具をつくってる。そこが大きいですよね。柏木さんの器もほんと大きかったし。
(柏木)(演劇WSの翌日の舞台美術WSに)顔出すかどうか、ずっと考えてたわけ。泊まってくんだから夕方までいて、見てから帰ってもいいかなともちょっと思ったんだけど、でも「見ない」と。だってあの世界は僕が介入しないで、あの世界としてつくられてほしいから。それで僕はとにかく出会い続ける。「そうなったの!?」って。
(長峰)柏木さん、そこがいいですよね。やっぱ、できるからだよね。
(宮本)ほんと、人の心をとらえる力とか、伝える力がとても前向きで、すごく素敵だなと思って。裏方と表方の間のポジションで、柏木さんを見れる、観察できるなーって。人と人をつなげる人の大切な部分というか、どっちもできる人だから納得するというか。今日、(柏木さんが)座って見ている場所から舞台ラインに出ていって、みなさんに伝えてるのを見て、伝える大切さや気持ちを盛り上げるというポイントがあるのと、座って見ている僕の位置からもその要素が見える、という立ち位置、ポジショニングだなって。出てる人、伝える人、見る人のバランス。ああ、こういうことなんだな、こういう魅力なんだなって、勝手に思ってました。
(柏木)僕、明日死ぬのかな(笑)。まあ僕のことは置いといて、明日発表をして、その振り返りの時に彼らからどういう質問が出てくるかってことが今度は問われてくるかな、と。体験って深くなればなるほど、多分時間を置かないと発芽しなくて、だからパッパッと出てくるってわけではないと思うんだけど、今回のことを契機に、今までの経験が見えてくればいいんじゃないかな、と思うんです。これまでを検証するようなつもりで。今回のワークショップがあって、「じゃあ、あれはどうなんだろう」「これはどうなんだろう」って聞いてもらえると、もっともっと面白い振り返りになるかなって思うんで、そこがどれくらい実現できるかなっていうところですよね。
この規模で、この予算で、これくらいのことができて、それはもしかしたらいろんな劇場とかでも上演できるようなものになってしまっているのかもしれない……っていうことを、みなさんに知ってもらっていいと思うんですよ。多分再現はできないっていうか、彼らは生活があるし、ツアーを組めるような形じゃないと思うんだけど、もし都内でつくってたら、当然ツアーに回しましょうってくらいのレベル。これくらいの豊かさを持ったものが、ここで、市民参加でできちゃってるんですよっていう、そのことは理解してもらってもいいのかな。それでまた、「こんなことしてみたい」っていうことが生まれるといいかな、と思いますね。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。