2023年1月25日水曜日

舞台美術ワークショップ②

119日(木)、舞台美術ワークショップ②が行われました。


今回は、前回のワークショップで描いた「点と線」の作品を材料に絵本を作っていきます。

まずは講師の長峰麻貴さんから今日の内容についてお話していただきました。

「皆さんが前回描いた絵、300枚くらいあったみたいなんですよね。これらを使って文字のない絵本を作っていきたいと思います。できた絵本を皆さんにプレゼンテーションしてほしくて、けっこうやることが多いので、さっそく作り方を紹介していきます。」

 


「文字のない絵本ってどういうことかというと…」と参考に見せてくださったのは、前回のワークショップで長峰さんがお話していたイタリアのアーティスト、ブルーノ・ムナーリさんの絵本。実物を持ってきてくださいました。

「ブルーノ・ムナーリさんはこういう風に、造形だけで見て楽しむような本だったり、その時の気持ちで感じ方が変わる絵本を作っています。」

さらに、「見せちゃうと引っ張られちゃうかもしれないのでチラっとしか見せませんが()」と、長峰さんのこれまでのワークショップの中で参加者の方が作った絵本も参考に少し紹介していただきました。

 「今後のことも考えてサイズは統一したいと思います。」

まずは長峰さんが用意した紙の中から好きなものを3枚と紙を綴じる紐を選び、製本をしていきます。

「カラフルなものから、今回大人の方が多かったので質感の面白い落ち着いた色の紙なんかも用意しました。」



 たくさんの種類の紙を前に、どれにしようかな~と悩む場面も。

「あとから変えてもいいですよ~」と長峰さん。

 

同時に製本の方法も説明していきます。

まずは選んだ紙3枚を真ん中で半分に折り、どの色を何ページ目にするか考えながら重ねていきます。折り目のところで紐を結んで本を綴じますが、このとき本の角を5ミリから1センチほど切り落とすと、紐が引っ掛かって抜けにくくなります。

「大胆に角を落としたい方は、そうしていただいても大丈夫です!」


本ができた人から、前回の「点と線」の絵の中から使いたいものを、5点選んでコラージュしていきますが、「直感で!特につながりは考えなくて大丈夫です」と長峰さん。

「今回はページごとにまったく違う絵が出てきてよくって、そこのつながりを考えていくことが演劇の手法としては大事なことなんですよね。なので、全然違う世界をどう繋ぐかというのが今後のワークショップに生きてくると思います。」


そして参考として長峰さんからもう1冊絵本の紹介。


チェコの絵本作家クヴィエタ・パツォウスカーさんの絵本です。

ノートの切れ端とかのコラージュでできているんですけど、ほぼ絵だけで。内容は一応ヘンゼルとグレーテルですが、そう読まなくてもいいというか。そういう風にわりと自由に大胆にやっていってもらえればいいなと思っています。」

さっそく、材料となる「点と線」を選んでいきます。

迷わず手に取っていく方もいれば、じっくり考えながら選ぶ方も。

 

材料がそろったらハサミで思い思いの形に切って先ほど作った本に貼っていきます。

皆さん表情が真剣です。



 



少しずつ完成した方が出てきました。制作中の方は手を動かしつつ、完成した作品を長峰さんが紹介していきます。

「感じるがままに見て、次の時までに内容考えてもいいし、考えなくてもいいし。じゃあちょっと見ていきます。」

 

まずはものすごい勢いで作っていたこちらの作品。



「青い寒色系の色が素敵ですね。踊っているように見えますね。構成が意外とできていて、最初静かなシーンからはじまって、踊って激しくなってきて。ちょっと縄文っぽいですよね。あまり考えずにやりましたか?」

「考えてないです!」

「そこが面白いですよね。でもすごく集中してやっていましたね。」

 

最年少の部員さんの作品。



「何も言わずにとりあえず見てください…かっこよくないですか!?すごいですよね、点だけでやっているけど構成ができていて、最後黒に黒い点で終わるという…。楽譜にも見えるんですよね。色々な展開ができそうです。ちなみにどういうイメージですか?」

「爆発がテーマ。」

「それは確かに伝わってきます。再生だったり宇宙だったり生命の誕生とか…。次回朗読を楽しみにしています。お母さんが読んでもいいかも。」

 

続いてはこちらの作品。


「トリミングに自分のルールがあって、色もご本人っぽいですよね。少しなつかしさというか、江戸時代とか古い時代のゆるい漫画っぽい。選んだ柄も、線や三角の繰り返しだったり、丸、三角、四角で構成されていたり、読む人が想像しやすいのかな。」

「これは自分で描いた絵を選んだ…はず。」

「そうしたら純粋にご自身の本ですね()

 

こちらの部員さんは製本の紐を編むことから始めていましたが…



「出来ているじゃないですか、流石ですね!紐を三つ編みにするという…やりたかったら真似して差し替えてもいいですからね。製本の紐が既におしゃれ。コラージュも潔いというか、スッとしていますよね。わざと貼らなかったりとか、点と線だけでまとめていて。一緒に旅しているみたいでちょっと可愛いですよね。」

 

次の作品は、コラージュの方法が特徴的です。



「テクスチャーや、しわを生かして立体っぽくなっています。このページからは折って貼って1枚の巻物みたいですよね。不思議でおもしろい。花のようだと思ったら最後はサボテンや、不思議な生命に見える。最後はゴージャスにちょっと飛び出していて。」

 

今度の作品は、もう少しで完成。


「これも表紙かっこいいですよね。中はしかけ絵本みたいになっていて、こんな感じで広がるような。こういう飛び出す仕掛けも面白いですよね。空間でそのまま装置になりそう。完成楽しみにしています!」

こちらも、あと少しで完成。ちょっと見せてもらいました。



「これもすごくかっこいいんですよ。四角い漫画的なトリミングだけどもう少しミニマルな感じ。選んでいる色もかっこいいですよね。美術館の絵を見ているような感じで素敵です。」

 

最後はこの作品。

「始まり方がすでにかっこいいですよね。1個の点から始まって・・・。これは流れを考えながら作りましたか?」

「はい。

「想像しやすくて優しい本ですね。最後がきれいです。何かテーマとかありますか?」

「展開考えながらやったので一応ストーリーがあります。」

 「えぇ~!良かったら読んでみますか?」

ということでご本人による発表~!



“はじまりがありました。

はじまりは、はじまりだけだとはじまりだとわからないので、

じぶんをりゅうしゅつさせることにしました。

どどどどど。

そしてこんとんがうまれて、おわりができたときに、

はじまりは、はじまりをしりました。”

 

すごい!

「ちゃんと絵本ですね‼」と長峰さん。

「こんな感じで読んでもらってもいいし、オノマトペとかでも大丈夫です。自分の中で持っていてもらえるといいかなと思います。」

 

制作途中の絵本は持って帰って、続きを作ることに。

次回の127日(金)は演劇ワークショップ①。講師は演劇家の柏木陽さんです。今回の絵本がどう変化していくのかお楽しみに!

さらに210日(金)には長峰さんと柏木さんお二人が講師で、舞台美術と演劇の合同ワークショップが行われます。

 次回もまた、クラブ活動でお会いしましょう!

(マネージャー・まりこ)

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【インタビュー】長峰さんに聞く!


―「プロのあたまの中、見てみたい!」ということで毎回お話をうかがっていこうと思うのですが、今回は……
「参加者のみなさんのあたまの中が、すごい!感嘆! 一人ひとりのおもしろさが出てました。舞台っていろんな人のアイデアでできているものだし、外からの刺激をどう自分のなかで消化していくかっていう部分があるんですけど、突き動かされるというか、わたし自身が参加するみなさんからすごく刺激をもらってます。」

―長峰さんがみなさんの作品をすごくおもしろがって見てくださっていて。
「ほんとに純粋におもしろいなって。同じ素材でやっていても、選ぶ紙が違って、貼り方も違って、もうみんな全然違う。隣同士でも全然違って、でも刺激されて取り入れたり。同じ空間でやってるとそこがおもしろいですね。
 まず、紙の上にひとつ置いて、何かが見えてくる。自分のなかになにかが生まれてくる。そんなふうに手を動かしたり体を動かしたりして、いったりきたりしながらやってみる。「こうやりたい」っていうものより、失敗した形のほうがおもしろかったりする。そこを拾っていくのがクリエイションでは大事かな、と。想像をこえたもの、無意識にできたものから拾って、そこで構築していくほうが思いも寄らない発見がある。段階をふむのも大事だけど、変な失敗から「あれ?」っていう。生きるっておもしろい、ですよね。
 相手からでてきたものを、認めるというか、楽しむのが大事だなって。「おもしろい」って受け入れる器。舞台美術って器みたいなもの。いろんな要素がまざってできてくるものだから。今、みんなでいっしょにつくっているのも、舞台美術をつくる過程と同じですよね。」

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2023年1月18日水曜日

舞台美術ワークショップ①



 1214日(水)茅野市民館アトリエにて、茅野市民館をサポートしませんか2022「演劇の種育てましょ!“演劇で遊ぶ”クラブ活動やってます!絵からはじめる劇づくり部」の舞台美術ワークショップ①が行われました。

「絵からはじめる劇づくり部」は、演劇と舞台美術、2つの入口から劇づくりを楽しむクラブ活動になっています。

今回のクラブ活動では、最初に舞台美術の要素に取りかかり、そのワークショップの中で作ったものをもとに演劇の台本を作っていく想定です。

 

まずは、長峰さんから少しお話。

「プロの頭の中見てみた~い!」という部員の要望に答え、長峰さんが舞台美術を考えるときに大事にしている“みたて”と“変容(メタモルフォーゼ)”についてお話していただきました。

「“みたて”は聞いたことがあるかもしれませんね。日本人には割と身近な言葉だと思います。演劇はシーンが変わったりするのを短い時間で表さないといけなくて、お客さんの想像力があって成り立っている部分もあります。舞台美術はその器のように考えています。たとえば、落語も“みたて”を最大限に生かしていて、噺家の持つ扇子は蕎麦をすする箸になったり、お酒を飲むものになったりとか…。1枚の紙が折ると山になったり、丸めると石に見えたり、こういうことが“みたて”と“変容”。1つのものからどんどん違うものになっていくのを時間とともに見せたり、そういうことをキーワードに作っています。」

 

さらに、イタリアの造形作家ブルーノ・ムナーリさんの絵本を紹介されました。

「ブルーノ・ムナーリさんは、イタリアの造形作家でアーティスト、デザイナーでもあり、家具を作ったり絵本を描いたり、1つのことに留まらない表現者です。絵本は色や形などを使った文字のない内容だったり、どこか日本的な雰囲気もありますよね。今日はまずムナーリさんの『空想旅行』という本を参考にウォーミングアップをしていきたいと思います。この点の並んだ紙に自由に線を引いたり囲ったりして、これなんだろうと自由に考えてタイトルもつけてみてください。」

 

配られた用紙にさっそく思い思いの線を引いて、タイトルも考えていきます。


「バリエーション豊か!こんなにとめどなくできるとは…!」


ウォーミングアップが終わったら、いよいよ今日のメインイベント!
墨を使って様々な『点と線』を描いていきます。
「いろいろな『点と線』を採取していきたいです!」と長峰さん。
「普通に描いてもいいけど、力いっぱい描いた点だったり、逆に力を抜いた点とか、線だったら細い線、なみなみの線…いつもと違う描き方で、皆さんの無意識の『点と線』、出てこない形を追求してほしいです。できる限り、いろいろな表現を集めて、それを次回使っていきます」と仰っていました。

たくさんの道具や紙の中から好きなものを自由に選んで創作タイムスタート!



最初は、どんな風に描こうかな~と考え込んでいる様子も見受けられましたが…


皆さん迷っていた時間はわずかでした。

1枚書き終わるとまた1枚、もう1枚…どんどんアイデアが止まらなくなって、筆づかいや表現方法もどんどん大胆になっていきました。

 

両手に道具を持ったり…


細かい点を打っていったり…

スポンジの形を生かして、模様を作ったり…

大きい筆を使ってくるくると描いたり…

最終的にはこんなにたくさんの作品ができあがりました!

その数なんと、302枚!

床一面に並んだ作品を前に、拍手が沸き起こりました。

「あらゆる表現が生まれていてパワーと刺激をいただきました」と長峰さん。

「ここからどうしていくかというと、これを一つ一つ素材にして切り取ってコラージュして、あべこべのストーリーを作っていきます。それがお芝居のテキストになっていくのかな? でも皆さんが最初にやった、点に線を引いて言葉をつけるものも、いい感じの詩になっていたので、そこは大丈夫かなと思います」と次回からの流れについてもお話いただきました。


部員の皆さんからも感想をいただきました。

「童心に返ったように無心になりました。」

「久しぶりにちゃんとした筆を使って絵を描いたら楽しかったので、このあと家に帰ったらもうちょっとやろうかなぁ。」

「子どもも素晴らしいけど、大人もすごいな~と思った。」

「人が作ったものも面白くて、嫉妬してみたり(笑)。」

「描いてるときは子どもの気持ちで。皆さんが描いたものを見ると、そういう案があったか…と大人の目線になりました。」

「皆さん発想がすごいな~。大人なんだけど頭が柔らかい子どもみたい。」

「やわらかくやわらかくなっていく時間でした。踊ることが好きなんですけど、筆を動かすことが踊ることにも通じるな…と思ったり。大きい紙で皆で一斉に描いたりするとコミュニケーションが生まれて素敵そうだなと妄想しながら、並んだ作品を見ていました。」




部長さんからも一言いただきました。「はじめましての人も知っている人も集まって、こんな楽しい場面で終われることが嬉しいです。プロの頭の中を見てみたいというのがありましたが、皆さんの頭の中も見てみたいな~と思いました。テーマがないからこそ、こういう色々な発想が生まれて…。これから皆さんの頭の中ものぞかせていただきたいなと思います!」


今後の活動が楽しみな舞台美術ワークショップ①でした!


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【インタビュー】長峰さんに聞く!


―今日は部活動の初日でしたが、いかがでしたか?

「まず、劇場と美術館がある市民館さんの積み上げてきたものなのか、造形ワークショップの受け入れ態勢がしっかりしていてめちゃめちゃ感動しました! 最初、入りやすいように“見立て”の話なんかもしましたけど、みなさんもう言わなくてもわかってるっていうような感じがあって、ぐいぐいきてびっくりしました。そういう積み上げてきたものが、地域のみなさんにもつながっているのかなって。」


―講座のなかで「力を入れずリラックスしてやったほうが」というような話をされていました。

「墨で点と線を描くのも、筆だけじゃなくて歯ブラシとかいろんなものを用意して、それで無意識が出たらいいなって思ったんです。理屈にならない、原始的なものって人間の表現として大事だと思うんですけど、そこがすっと出てくるというか。でも、ここまでバリエーションが豊かなのって珍しい。すごいおとなたちを見た(笑)」。


―たくさんの無意識のバリエーションが生まれた今回ですが、これからどのように進んでいきますか?

「点と線の絵をもとに、次回は個人個人で3ページくらいの簡単な本をつくろうかなと思ってます。それができたら読み聞かせか、展開をおしえてもらって。そこからの、物語につなげていくのは柏木さんと相談しながら。コラージュして具体的な絵になったり、インパクトのある絵を拡大コピーしてセットにしたり、みんなで模型をつくったりしてもいいかもしれない。わたしの想像をこえたほうが面白いなって思うので、みなさんの様子でこうやった方がいいなって、わたしも一緒に動きながら、そのときのパッションで即興的につくっていけたらいいなって思ってます。」

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次回のクラブ活動は1月19日(木)18:30から舞台美術ワークショップ②が行われる予定です!次回も皆さんで一緒に楽しみましょう!
(マネージャー・まりこ)

2022年11月29日火曜日

「はじまり~はじまり~のサロン」を行いました!

1111(金)に、茅野市民館マルチホールにて「茅野市民館をサポートしませんか2022 はじまり~はじまり~のサロン」が行われました。


茅野市民館では、「市民一人ひとりが主人公になれる場」を理念に、地域の皆さんが劇場に親しむ様々な体験をお届けするプログラムとして「茅野市民館をサポートしませんか」を継続して実施しています。その中で、2020年からは「演劇の種育てましょ!」として、講師に演劇家の柏木陽さんをお迎えし、みんなで一緒に“演劇”というもので“遊びつくす”クラブ活動を行ってきました。

 

今回のサロンでは、今までどんなことをやってきたのかを振り返りながら、「今年度はどんなことをしていこうかな~」という内容で、今年も引き続き講師をつとめていただく柏木陽さんと、そして今年度お迎えした舞台美術家の長峰麻貴さんのおふたりを交えてお話していきました。

 

まず最初に、市民館スタッフの進行のもと、2020、2021年と継続してきた演劇の種育てましょ!」のワークショップの記録や、茅野市民館開館当初から行ってきた、劇場に親しむ体験プログラムを振り返りました。

自分が出ている映像を見て、思わず笑い声をあげる方も。











後半スタートの前に小休止で「顧問のつぶやき」コーナーを行い、2004年の「平成中村座ニューヨーク公演」を紹介しました。

次回の「顧問のつぶやき」もお楽しみに!

 

後半は、講師の柏木さん、長峰さんにお話しを伺いました。

長峰さんは茅野市民館に来られるのは今回が初めて。ですが、以前茅野市民館で公演やワークショップをやっていただいた巻上公一さんとお仕事をされていて、市民館の話なども聞いていたそうです。

長峰さんを市民館へ誘ってくださった柏木さんは「舞台美術って“動かないな”と感じる方と、“すごく動く”と感じる方のものがあって、長峰さんは“すごく動くなぁ”と思う作品が多い印象。面白い仕掛けにあふれている舞台美術を茅野の方にもぜひ体感してほしい」と長峰さんの舞台美術の魅力を話され、さらに「長峰さんは現役の美術家でもあって、作家としての側面を持っているというのも面白いところなので茅野の皆さんに知ってほしい」と仰っていました。

 内容は今年度のクラブ活動へ



柏木さんからは「普段は、舞台美術が演出や脚本に寄り添っているけど、それの逆で脚本が舞台美術に寄っていくような感じでいきたい」と、ワークショップのイメージをお話いただきました。

今回は「点と線」を描くところからクラブ活動がスタートしていきます。

そこから生まれた表現が、どんな演劇になっていくか今から楽しみです。


1214日(水)から、いよいよ1回目「舞台美術ワークショップ①」が行われます。

こちらのブログでは、クラブ活動の様子を随時お知らせしていきます。

今年度も、どうぞよろしくお願いします!

(マネージャー・まりこ)