「絵からはじめる劇づくり部」は、演劇と舞台美術、2つの入口から劇づくりを楽しむクラブ活動になっています。
今回のクラブ活動では、最初に舞台美術の要素に取りかかり、そのワークショップの中で作ったものをもとに演劇の台本を作っていく想定です。
まずは、長峰さんから少しお話。
「プロの頭の中見てみた~い!」という部員の要望に答え、長峰さんが舞台美術を考えるときに大事にしている“みたて”と“変容(メタモルフォーゼ)”についてお話していただきました。
「“みたて”は聞いたことがあるかもしれませんね。日本人には割と身近な言葉だと思います。演劇はシーンが変わったりするのを短い時間で表さないといけなくて、お客さんの想像力があって成り立っている部分もあります。舞台美術はその器のように考えています。たとえば、落語も“みたて”を最大限に生かしていて、噺家の持つ扇子は蕎麦をすする箸になったり、お酒を飲むものになったりとか…。1枚の紙が折ると山になったり、丸めると石に見えたり、こういうことが“みたて”と“変容”。1つのものからどんどん違うものになっていくのを時間とともに見せたり、そういうことをキーワードに作っています。」
「ブルーノ・ムナーリさんは、イタリアの造形作家でアーティスト、デザイナーでもあり、家具を作ったり絵本を描いたり、1つのことに留まらない表現者です。絵本は色や形などを使った文字のない内容だったり、どこか日本的な雰囲気もありますよね。今日はまずムナーリさんの『空想旅行』という本を参考にウォーミングアップをしていきたいと思います。この点の並んだ紙に自由に線を引いたり囲ったりして、これなんだろうと自由に考えてタイトルもつけてみてください。」
1枚書き終わるとまた1枚、もう1枚…どんどんアイデアが止まらなくなって、筆づかいや表現方法もどんどん大胆になっていきました。
最終的にはこんなにたくさんの作品ができました!
床一面に並んだ作品を前に拍手が沸き起こりました。
「あらゆる表現が生まれていてパワーと刺激をいただきました」と長峰さん。
「ここからどうしていくかというと、これを一つ一つ素材にして切り取ってコラージュして、あべこべのストーリーを作っていきます。それがお芝居のテキストになっていくのかな? でも皆さんが最初にやった、点に線を引いて言葉をつけるものも、いい感じの詩になっていたので、そこは大丈夫かなと思います」と次回からの流れについてもお話いただきました。
部員の皆さんからも感想をいただきました。
「童心に返ったように無心になりました」
「久しぶりにちゃんとした筆を使って絵を描いたら楽しかったので、このあと家に帰ったらもうちょっとやろうかなぁ」
「子どもも素晴らしいけど、大人もすごいな~と思った」
「人が作ったものも面白くて嫉妬してみたり(笑)」
「描いてるときは子どもの気持ちで。皆さんが描いたものを見ると、そういう案があったか…と大人の目線になりました。」
「皆さん発想がすごいな~。大人なんだけど頭が柔らかい子どもみたい」
「やわらかくやわらかくなっていく時間でした。踊ることが好きなんですけど、筆を動かすことが踊ることにも通じるな…と思ったり。大きい紙で皆で一斉に描いたりするとコミュニケーションが生まれて素敵そうだなと妄想しながら、並んだ作品を見ていました」
今後の活動が楽しみな舞台美術ワークショップ①でした!
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2022年12月14日(水)舞台美術ワークショップ①
講師インタビュー
「長峰さんに聞く!」
(長峰)まず、劇場と美術館がある市民館さんの積み上げてきたものなのか、造形ワークショップの受け入れ態勢がしっかりしていてめちゃめちゃ感動しました! 最初、入りやすいように“見立て”の話なんかもしましたけど、みなさんもう言わなくてもわかってるっていうような感じがあって、ぐいぐいきてびっくりしました。そういう積み上げてきたものが、地域のみなさんにもつながっているのかなって。
―講座のなかで「力を入れずリラックスしてやったほうが」というような話をされていました。
(長峰)墨で点と線を描くのも、筆だけじゃなくて歯ブラシとかいろんなものを用意して、それで無意識が出たらいいなって思ったんです。理屈にならない、原始的なものって人間の表現として大事だと思うんですけど、そこがすっと出てくるというか。でも、ここまでバリエーションが豊かなのって珍しい。すごいおとなたちを見た(笑)。
―たくさんの無意識のバリエーションが生まれた今回ですが、これからどのように進んでいきますか?
(長峰)点と線の絵をもとに、次回は個人個人で3ページくらいの簡単な本をつくろうかなと思ってます。それができたら読み聞かせか、展開をおしえてもらって。そこからの、物語につなげていくのは柏木さんと相談しながら。コラージュして具体的な絵になったり、インパクトのある絵を拡大コピーしてセットにしたり、みんなで模型をつくったりしてもいいかもしれない。わたしの想像をこえたほうが面白いなって思うので、みなさんの様子でこうやった方がいいなって、わたしも一緒に動きながら、そのときのパッションで即興的につくっていけたらいいなって思ってます。
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