2022年12月14日水曜日

舞台美術ワークショップ①


1214日(水)、舞台美術ワークショップ①が行われました。

「絵からはじめる劇づくり部」は、演劇と舞台美術、2つの入口から劇づくりを楽しむクラブ活動になっています。

今回のクラブ活動では、最初に舞台美術の要素に取りかかり、そのワークショップの中で作ったものをもとに演劇の台本を作っていく想定です。

 

まずは、長峰さんから少しお話。

「プロの頭の中見てみた~い!」という部員の要望に答え、長峰さんが舞台美術を考えるときに大事にしている“みたて”と“変容(メタモルフォーゼ)”についてお話していただきました。

「“みたて”は聞いたことがあるかもしれませんね。日本人には割と身近な言葉だと思います。演劇はシーンが変わったりするのを短い時間で表さないといけなくて、お客さんの想像力があって成り立っている部分もあります。舞台美術はその器のように考えています。たとえば、落語も“みたて”を最大限に生かしていて、噺家の持つ扇子は蕎麦をすする箸になったり、お酒を飲むものになったりとか…。1枚の紙が折ると山になったり、丸めると石に見えたり、こういうことが“みたて”と“変容”。1つのものからどんどん違うものになっていくのを時間とともに見せたり、そういうことをキーワードに作っています。」

 
さらに、イタリアの造形作家ブルーノ・ムナーリさんの絵本を紹介されました。

「ブルーノ・ムナーリさんは、イタリアの造形作家でアーティスト、デザイナーでもあり、家具を作ったり絵本を描いたり、1つのことに留まらない表現者です。絵本は色や形などを使った文字のない内容だったり、どこか日本的な雰囲気もありますよね。今日はまずムナーリさんの『空想旅行』という本を参考にウォーミングアップをしていきたいと思います。この点の並んだ紙に自由に線を引いたり囲ったりして、これなんだろうと自由に考えてタイトルもつけてみてください。」

 

配られた用紙にさっそく思い思いの線を引いて、タイトルも考えていきます。

「バリエーション豊か!
こんなにとめどなくできるとは…!」

ウォーミングアップが終わったら、いよいよ今日のメインイベント! 墨を使って様々な『点と線』を描いていきます。

「いろいろな『点と線』を採取していきたいです!」と長峰さん。「普通に描いてもいいけど、力いっぱい描いた点だったり、逆に力を抜いた点とか、線だったら細い線、なみなみの線…いつもと違う描き方で、皆さんの無意識の『点と線』、出てこない形を追求してほしいです。できる限り、いろいろな表現を集めて、それを次回使っていきます」と仰っていました。

たくさんの道具や紙の中から好きなものを自由に選んで創作タイムスタート!


最初は、どんな風に描こうかな~と考え込んでいる様子も見受けられましたが…


皆さん迷っていた時間はわずかでした。

1枚書き終わるとまた1枚、もう1枚…どんどんアイデアが止まらなくなって、筆づかいや表現方法もどんどん大胆になっていきました。

両手に道具を持ったり…

細かい点を打っていったり…

スポンジの形を生かして、模様を作ったり…

大きい筆を使ってくるくると描いたり…

最終的にはこんなにたくさんの作品ができました!

その数なんと、302枚!

床一面に並んだ作品を前に拍手が沸き起こりました。

「あらゆる表現が生まれていてパワーと刺激をいただきました」と長峰さん。

「ここからどうしていくかというと、これを一つ一つ素材にして切り取ってコラージュして、あべこべのストーリーを作っていきます。それがお芝居のテキストになっていくのかな? でも皆さんが最初にやった、点に線を引いて言葉をつけるものも、いい感じの詩になっていたので、そこは大丈夫かなと思います」と次回からの流れについてもお話いただきました。


部員の皆さんからも感想をいただきました。

「童心に返ったように無心になりました」

「久しぶりにちゃんとした筆を使って絵を描いたら楽しかったので、このあと家に帰ったらもうちょっとやろうかなぁ」

「子どもも素晴らしいけど、大人もすごいな~と思った」

「人が作ったものも面白くて嫉妬してみたり(笑)」

「描いてるときは子どもの気持ちで。皆さんが描いたものを見ると、そういう案があったか…と大人の目線になりました。」

「皆さん発想がすごいな~。大人なんだけど頭が柔らかい子どもみたい」

「やわらかくやわらかくなっていく時間でした。踊ることが好きなんですけど、筆を動かすことが踊ることにも通じるな…と思ったり。大きい紙で皆で一斉に描いたりするとコミュニケーションが生まれて素敵そうだなと妄想しながら、並んだ作品を見ていました」



部長さんからも一言いただきました。

「はじめましての人も知っている人も集まって、こんな楽しい場面で終われることが嬉しいです。プロの頭の中を見てみたいというのがありましたが、皆さんの頭の中も見てみたいな~と思いました。テーマがないからこそ、こういう色々な発想が生まれて…。これから皆さんの頭の中ものぞかせていただきたいなと思います!」

今後の活動が楽しみな舞台美術ワークショップ①でした!


次回のクラブ活動は1月19日(木)18:30から、舞台美術ワークショップ②が行われる予定です!
次回も皆さんで一緒に楽しみましょう!

(マネージャー・まりこ)


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2022年12月14日(水)舞台美術ワークショップ①
講師インタビュー

「長峰さんに聞く!」

 
―今日は部活動の初日でしたが、いかがでしたか?
(長峰)まず、劇場と美術館がある市民館さんの積み上げてきたものなのか、造形ワークショップの受け入れ態勢がしっかりしていてめちゃめちゃ感動しました! 最初、入りやすいように“見立て”の話なんかもしましたけど、みなさんもう言わなくてもわかってるっていうような感じがあって、ぐいぐいきてびっくりしました。そういう積み上げてきたものが、地域のみなさんにもつながっているのかなって。

講座のなかで「力を入れずリラックスしてやったほうが」というような話をされていました。
(長峰)墨で点と線を描くのも、筆だけじゃなくて歯ブラシとかいろんなものを用意して、それで無意識が出たらいいなって思ったんです。理屈にならない、原始的なものって人間の表現として大事だと思うんですけど、そこがすっと出てくるというか。でも、ここまでバリエーションが豊かなのって珍しい。すごいおとなたちを見た(笑)。

たくさんの無意識のバリエーションが生まれた今回ですが、これからどのように進んでいきますか?
(長峰)点と線の絵をもとに、次回は個人個人で3ページくらいの簡単な本をつくろうかなと思ってます。それができたら読み聞かせか、展開をおしえてもらって。そこからの、物語につなげていくのは柏木さんと相談しながら。コラージュして具体的な絵になったり、インパクトのある絵を拡大コピーしてセットにしたり、みんなで模型をつくったりしてもいいかもしれない。わたしの想像をこえたほうが面白いなって思うので、みなさんの様子でこうやった方がいいなって、わたしも一緒に動きながら、そのときのパッションで即興的につくっていけたらいいなって思ってます。

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